制作:鈴木歯科医院院長 鈴木重光
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血液のお話 目次

 

血液は食事からつくられ血液は胃腸をつくる
私たちの身体の細胞は絶えず破壊と再生を繰り返しています。身体に入ってくるものが良いものであれば、つくられる細胞も当然良い細胞になるでしょうし、質の悪いものが入ってくれば、質の悪い細胞ができるのは当然のことです。食べ物を口にしてから身体の中に入ってくるまでには、消化・吸収という過程が入り、人によってその消化・吸収が良い人もいれば悪い人もいるということです。ですから、同じものを食べても同じように吸収されるわけではないのです。血液は、この消化・吸収・排泄の状態を反映しており、食べたものが身体をつくる途中の段階を如実に映し出しているのです。そのため、消化・吸収・排泄がうまくいかない人は血液が汚くなるという状態にあらわれてきます。消化・吸収・排泄が良いということは、内臓の機能が正常だということになります。身体をつくるために必要となる良い食べ物が身体に入り、健康な内臓が消化・吸収・排泄をしてくれれば、まちがいなく健康でいられるはずなのです。
アメリカのバーナード・ジェンセン博士は著書の中で「血液は食事からつくられ、その食事から腸はつくられていく。腸はその人の食事と同じだけきれいであり、血液は腸と同じだけきれいなのです」と述べています。毎日食べるものが血液をつくるのですから、食べ物が悪ければ血液が汚れ、その結果、腸が汚れます。腸が汚れればまた、健康でない血液がつくられます。こうした悪循環の繰り返しで病気をつくることになるのです。次に、健康に大きく関わっている血液についての話をしていきましょう。

血液の仕組みと役割
「健康な血液とは血球と血漿の量が偏ることなく、正常値域にバランスよく存在し、それぞれの役割をきちんとはたしているもの」と言われています。血液は私たちの体重の8%前後を占めており、体重60キロの人なら4.8キロ。約5リットルの血液が体内をめぐっていることになります。血液が行っている仕事は次の4つです。
1.運搬
2.pH調節
3.体液量の調節
4.白血球の働きによる身体防御

中でも運搬という仕事は重要です。血液は栄養や酸素を身体じゅうの細胞に運ぶ運送やさんであり、一方いらなくなった老廃物・炭酸ガスを、排泄する臓器に運ぶ作業も請け負っています。うまく運べなくなるつまり血液循環が悪くなると、血液には排泄物がたまってしまい栄養も運べなくなり、血液が汚れてしまうことになります。血液がサラサラ流れている状態であれば栄養素も身体のすみずみに行き渡り、疲れた内臓も元気を取り戻していくのですが、逆に血液がドロドロになったり、赤血球の形がいびつになっていると、身体のすみずみに栄養が行き渡らず、内臓はますます疲労することになります。血液をサラサラに保つ上で最も重要なのが、食べ物の消化・吸収作業であり、腸内細菌叢を正常にすることなのです。

血液=血球+血漿
右の図のように血液を試験管に入れてしばらく放置しておくと、下の方にどんよりとした赤い固まりの「血球」と黄色の上澄み液の「血漿」とに分かれます 。血球のなかには、赤血球、白血球、血小板という三種類の血球が存在しています。そのうち最も数が多いのが赤血球です。血液1マイクロリットル中に男性で約500万個、女性で450万個の赤血球が含まれています。 血漿というのは血液全体の55~60パーセントを占める液体です。血漿そのものの90パーセントは水分で8パーセントをタンパク質(栄養分となるアルブミン、免疫に関係するグロブリン、凝固因子フィブリノーゲンなど)1パーセントを脂質(コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸)0.1パーセントを糖質(ブドウ糖)が占め、さらにミネラル、ホルモン、酵素などが含まれています。この血漿の大きな役割は、赤血球、白血球、血小板という血球を浮かべ、体内の血管内を循環させて全身に運ぶことです。血球のほかにも栄養分やホルモン、ミネラルを運び細胞に必要な物質を補給し、不必要になった老廃物を受け取って運搬します。また、体温の調節も血漿の役目です。身体の中心部で発生する熱は血管を流れる血漿によって身体の表面まで運ばれ、そこで熱を放散することで体温調整がなされています。

赤血球変形能
具体的に血球の話をしていきます。 赤血球は球状ではなく直径7~8マイクロメートル、厚さ2マイクロメートルほどの中央部が薄くくぼんだ円盤状の形をしています。これは直径3~5マイクロメートルの細い毛細血管を通り抜けるとき、円盤状のほうが変形しやすいためです。赤血球のほうが大きくてそのまま入れないため、グニャっと折れ曲がって入っていきます。この赤血球が形を変える能力を赤血球変形能といいます。もし、円盤状の赤血球が球形になったり、膜の弾力性が低下すると、赤血球変形能は低下し、細い血管を通り抜けることができずにそこで詰まってしまい足や手の血行不良が起こり、冷え性などの症状が出てくる可能性も高くなります。ビタミンB12欠乏が赤血球変形能の低下の大きな原因となります。

 
赤血球のしごと
赤血球の基本的な仕事としては
・酸素の運搬
・栄養補給
・ミネラルの補給
・ホルモンの補給
・毒素排泄
この中で特に大切なもとして、赤血球の中に含まれるヘモグロビンは、鉄を含むヘムという赤い色素とグロビンというタンパク質からできており、肺で受け取った酸素を身体のすみずみまで運び、不要になった二酸化炭素を肺で放出させるという大切な働きを担っています。

白血球のしごと

白血球は大きさは赤血球の3倍ほどで赤血球のように一種類だけではなく、五種類ある細胞の総称なのです。白血球を構成する細胞に多い順に好中球、リンパ球、単球(マクロファージ)好酸球、好塩基球、これらの細胞が力を合わせ、体内に侵入してきた細菌などの病原体と戦い、その侵攻を食い止めているのです。

血小板は赤血球に次いで多い細胞で、大きさは直径2~3マイクロメートル、厚さ0.9マイクロメートルほどで赤血球より小さく薄い円盤状をしていて出血を止める役割を持っています。